「服なんて、何を着ても同じでしょって思ってました」
そう言って、少し恥ずかしそうに笑ったのは、30代後半の女性。
職場と家の往復。気がつけば黒やグレーばかりを選ぶようになっていたと言います。
最初はちょっと緊張気味なお客様、ドレープをあてていくと、ある瞬間に空気が変わりました。
頬にほんのり血色が戻り、目の輝きがふわっと増す。
そのとき選ばれたのは、「イエベ春」のカラーたち。
「えっ、私、こんな明るい色も似合うんだ…」
その小さな発見が、彼女の“自己否定”を少しずつ溶かしていくのがわかりました。
最後に、「次は娘と一緒に来ます」と言ってくださった笑顔が忘れられません。
似合う色って、ただ外見を変えるだけじゃないんです。
“自分を大切にする勇気”をくれる、そんな力を持っている。
これからも、そんな色との出会いを、ひとつひとつ大切にしていきたいと思います。
イロカラ日和のあとがき
長年の診断を経て、いま改めて感じるのは、
色の先にはお一人おひとりの物語があるということ。
私はただ「似合う色」を伝えるだけでなく、
その色が人生をそっと動かす“きっかけ”になることを願っています。
似合う色を知って、自信が持てた。
そんな経験が、私自身の背中を押してくれたからこそ──
これからも丁寧に、色を手渡していけたらと思います。
カラーアナリスト YOU/坂口祐子